大会長挨拶

公益財団法人実験動物中央研究所
大会長       伊藤 守

 

 このたび、公益社団法人日本実験動物学会の定期学術集会である第63回日本実験動物学会総会(大会)を平成28年5月18日(水)~20日(金)の3日間、ミューザ川崎シンフォニーホールにおいて開催することとなりました。
 実験動物は、生物の基本的生命現象を解明するための最も重要なツールであるとともに、医薬品の開発や安全性の検証のための橋渡し研究に重要な役割を果たします。わが国では、革新的な医薬品・医療機器等を迅速にかつ適切に社会に提供するために、日本医療研究開発機構(AMED)が創設され、基礎・臨床研究を一体化した体制のもとで、医療研究開発を促進することになりました。また、医薬品医療機器総合機構(PMDA)でも、「先駆け審査指定制度」という制度を創出し、根治療法がなく、一刻も早い実用化が求められている難治性疾患領域の医薬品・医療機器を一刻も早く承認する試みが始まりました。これらは、従来の縦割りではなく、総合的な基礎・臨床研究者の結集を求めるものです。このような状況の中で、本大会では、私が所属しております実験動物中央研究所の故野村達次所長が提唱した概念である「In vivo実験医学」すなわち、単なる動物実験ではなく、規格化され品質統御された実験動物を用いた、臨床応用のための動物実験システムの確立をテーマとし、その中でBench to Bedsideの橋渡しとして、実験動物、動物実験の重要性を改めて考える機会としたいと思います。
 現在、このテーマに沿った特別講演、シンポジウムやミニシンポジウム等を企画し、LASセミナー、市民公開講座の開催も含め魅力あるプログラムになるように鋭意準備いたしております。特にミニシンポジウムは、3名程度の演者にて開催し、その内容は各テーマに関する総論的な講演1題と専門的な講演2題の構成とし、幅広い知識を吸収して頂けるミニシンポジウムを考えております。さらに、器材展示についても日本実験動物器材協議会のご協力により実施することが決定しており、参加者にとって有益かつ充実した大会となるよう心がけて行きます。
 以上、本大会が会員ならびに維持会員の皆様にとって実りの多き学術交流の場となりますよう準備を進めてまいります。会場もJR川崎駅に近く、また音楽ホールと言うこともあり毎日ミニコンサートをお楽しみ頂けます。皆様の積極的なご参加をお待ちしております。